【雑談】桃太郎3

オーディションが終わった後の会場には、切り落とされた首や腕、腹からはみ出た内臓、死にきれずに呻き声を上げている者が多数転がっていた。

返り血を浴びて立っているのは猿、犬、雉だけだ。
「生き残ったのは異形の者……キメラだけか」
「キメラ?」
父親が聞き慣れない言葉に聞き返す。
「俺も意味など知らん。急に頭に浮かんだんだ。これも河田という男の仕業だろう」

「おい、桃太郎、お前の言うことを聞いていれば金と女が手に入る、間違い無いな」
人を斬って興奮が収まらない犬が肩で息をしながら荒々しい様子で問いただす。
「間違い無い。最もお前らがしくじらなければの話だがな」
「仕事の内容はいつ聞けるんだ」
無表情の雉が静かに尋ねた。
「明日、俺の家に来い。そこでオペレーションBreaking Downの説明をする。その前に今日の褒美に団子をやろう」
桃太郎は懐からラップに来るんだ白い粉を渡した。
「あぶっても良いし、ポンプでも好きにやれ。ただし純度が高いから普段の粗悪品みたいにいきなり大量にはやるなよ」
全員が嬉しそうな顔をして手を伸ばした。
「こういう余録は大歓迎だ。混ぜ物無しってのは久しぶりだな」
猿が全員を見渡しながら声を弾ませた。
「良い働きをした奴には褒美としてこれからもこれを配るぞ。しっかり頼む」

翌朝、桃太郎の家に三人が集まった。
昨日の殺人のせいなのか薬物のせいなのか、全員未だに興奮が残っている。

「鬼ヶ島をやる」

全員の前に立った桃太郎は決然と言った。
思わず三人がざわつき、顔を見合わせた。
「確かにあそこには財宝が沢山あるし、女も尻がデカい良い女だらけだと聞いている……しかし防御も堅いという噂だぞ」
「正確には船着き場の防御だけが堅い、ここには武装した侍が控えている。こいつらの練度は高い」
桃太郎は動画を再生した。
「数年前、中に潜入した奴が撮影したものだ」
普段船着き場を警護している侍の稽古の様子が大型ディスプレイに映された。
剣だけでは無く長巻や槍も十分使いこなしている。
画面の下に『特別な訓練を受けています』というテロップが流れる。
「武器だけでは無いぞ」
手にオープンフィンガーグローブを付けて、グラップリングや打撃の練習も
行われており、レベルが高い。
「俺たちだけでやるのか?」
雉が静かに尋ねた。
「もっと人数を揃えた方が良いんじゃねぇのか? たった四人じゃ……」
犬の言葉に、
「臆したか」
桃太郎がからかうように言った。
「なにっ!」
気色を変えると猿と雉が止めに入る。
「勝算があるんだろうな?」
猿の言葉に桃太郎は大きく頷いた。
「全員の協力が必要だ、ここで仲間割れしている場合じゃ無い」
桃太郎はパワーポイントで作った資料を基に作戦の全容を説明し始めた。