デビューするまで

私は官能小説というものを読んだ事がありませんでした。
デビューしてから電子書籍で一冊だけ読みましたが、もうタイトルも朧です。
書店でフランス書院の本を手にした事はありますが、
「良いか! なぜ儂が肛姦にこだわるか分かるか!」
という台詞を見て、すぐに放り投げてしまいました。
この「儂」と自称する老人が肛門性交に対する思い入れをヒロインの前で長々と話すんですが、それ自分で言っちゃ駄目でしょう、行動で分からせないと、と思ったんですね。
生意気にも。
斜めに読んだ一冊目の感想がそれだったので、以降手を出さなくなってしまったんです。

でも昔から初期の西村寿行先生がお書きになった、暗く救いようのない陵辱シーンは大好きだったので、いつかこんなものを書いてみたいなとは思っていました。
また、Webに転がっている寝取られ話を読んで、「俺だったら最後はこうするな」「もっと異様なシチュエーションにしたいな」と考え、それで「なろう」をはじめとして、あちこちの投稿サイトで書くようになりました。

「寝取られ」しかも「母親寝取られ」はあまり書いている人がいなくて、今に至るもあまり人気が出る事はありませんが一部熱狂的な人がいて、当時「次はこういう話を書いて欲しい」と微に入り細を穿ったプロットを送って来られた方がいらっしゃいました。
「うーん。ここまで詰めているなら自分で書けば良いのに」
と、今でも思います。 (私の趣味じゃな買ったので書きませんでした)

そのうち「フランス書院」で原稿を募集しているというのを聞いて、一番最初に書いた
「母の性交を覗く」を投稿しました。

一次選考は通るにしても、二次は無理だろうなと思ったのですがそのまま最終選考まで残る事が出来ました。
しかし内容があまりにもニッチすぎると言う事で、「ボーンデジタル賞」という電子書籍専門の賞を設けていただき、デビューに至りました。

発売日に電車の中で書影を見た時には、とても不思議な気持ちになりました。
「ええっ……本当に出ちゃったよ」
という感じですね。